悪役は楽しい。

歌舞伎座に行ってきました。
チケット2枚いただいたのだけれど予定があう人が見つからず、「おひとりさま」で行ってきました。
幕間や終演後、余韻に浸りながらおしゃべりできる相手がいないのはチョット寂しかったけど、パンフレットをじっくり読んだり、
イヤホンガイドに聞き入ったり、場内に来ている有名人チェックをしてみたり、「おひとりさま」もたまには悪くないものです。。。
さて、今回の公演で一番印象に残ったのは、中村福助さんの悪女ぶり。
その言葉、しぐさ、悪だくみ、ホント嫌な女!でもお芝居が引き立つんだナ。
なんだか演じている福助さんも嬉々として悪役を演じているようにも見えました。
以前、私が出演していた、NHKラジオ「サンデージョッキー」に歌謡劇がありまして、その中で、私は毎回決まって悪役。
ゲストの歌手の皆さんが主役ですので、当然の役回りとしてまわってくる役なのですが、悪役って演じていて実はとっても面白い。
お客さんに嫌な女と思われれば思われるほど楽しい!
なんでだろ。と考えてみると。。。
私たちは誰しも日常、ムカつくこと、ムカつく人、ガーッと言ってやりたい事など多々あると思うのですが、
「こんなこと言ったら相手は傷つくだろう」、「こんな態度をとったらむしろ自己嫌悪になるだろう」、
などと意識的あるいは無意識下に自分を抑えて、社会生活を営んでいるもの。
しかし、お芝居の中の悪役は相手の気持ちなどいっさいおもんばからず、言いたいことを言い、自分の利益だけを考え、振舞う。
現実にこんな女いたら嫌だなと思うけど、架空の世界のお芝居の中でその役を演じるのは、日常とは違う自分を表現するという意味で、
とっても楽しいのではないかしら。
最後には正義が勝つのだけれど、結末に喜ぶお客さんの顔を見て、一番嬉しく感じているのはもしかして、
主役を引き立たせた悪役の役者さんなのかもネ。