都会の影のかすかな光。

nakamurayoko2005-09-18

カンボジアには現在約500ヶ所のスラムがあるといわれているが、
そのうちのひとつ通称バサックスラムを訪ねた。
ここはプノンペンでも3本の指に入る規模の大きなスラムで、人口は約5000人と言われている。
バスから降り、スラムの入り口に立った瞬間、すっぱい臭いが鼻を突いた。
ぞろぞろぞろと私たち日本人が中に入っていくと、スラムの住民たちが興味津々な目でこちらを眺めている。
廃材で作ったバラックや草葺の小屋が立ち並んでいる。雨期のため足元は水びたしだ。
失業率は50%。仕事の無い大人たちはあちこちでギャンブルに興じている。
以前インドネシアのスラムを訪れたことがあったが、どこも状況は同じ。
貧困のため農村から押し出されてきた人たちが、発展していく都会の影の部分で、劣悪な環境の中で生活している。
ただ今回訪れたバサックスラムが他のスラムと違うのは、ひとつのコミュニティとしてまとまりをもち、住民委員会を組織し、
寄付を呼びかけ、公立学校に行けない子供たちに対して、スラムの中に学校を作っていることだ。
このスラムの学校では、子供たちにカンボジアの伝統文化を教えるほか、カンボジア語、英語、日本語を教えたり、
職のない女性に対してはミシンの使い方などを教えている。
スラムの中のバラックで作った小屋に案内された。
そこには簡単な舞台のようなものがあり、今からここで子供たちがカンボジアの伝統的な踊りを私たちに披露してくれるという。
5歳〜12歳の子供たちがお化粧をして、着飾り、練習をつんだ踊りの成果を私たちに見せてくれた。
照れながら踊る子、横目で隣の人の動きを真似ながら踊る子もいたが、みんな一生懸命に踊ってくれた。
公演終了後、記念写真を撮ろうと舞台の上に上がっていくと、子供たちがいっせいに私のまわりに集まってきて、抱っこしてくれという。
次々に子供たちを抱き上げては歌を歌ったり、写真を撮ったり、なかなか帰らせてはくれないのだ。
長く子供たちを抱きかかえていたため腕がプルプルしてきた。
それでも子供たちの喜ぶ顔が嬉しくて、次々と子供たちを抱き上げた。
アジアの中で最も貧しい国カンボジアで、最も貧しい環境に暮らすこどもたち。
でも子供たちの笑顔がとても明るくて、みんな積極的に生きている感じがしたのはなぜだろう?
このこどもたちが大人になる10年後20年後にはカンボジアはどんな国になっているのだろう?
今、最貧困層といわれるこの子供たちが、成長し自由に自分の生き方を選択できる社会になってくれればいいのだけれど。。。