港の建設とHIV/エイズ

ここに大きな船が3隻停泊できる。

プノンペンからバスに激しく揺られながら4時間、カンボジア唯一のビーチリゾート、シアヌークヴィルへ。
何でもシアヌークさんが愛した街、ということからこの名前がついたそうな。。。
雨期だというのになんといういい天気!ちなみに昨日までは連日土砂降りの雨だったそうだ。
この街にやってきたのは、今日本の円借款で進められている港湾拡張工事を見学するため。
これまでもシアヌークヴィル港は国際港として使われてきたが、だいぶ老朽化が進み、
手狭で大きなコンテナ船が入港できないということで、カンボジア政府からの依頼で円借款が決まったそうだ。
この事業で面白いのは、港の建設といったインフラ整備に加えて、
プロジェクトの中にHIVエイズ予防のための計画が盛り込まれていること。
これはつまり、港湾の建設のためにカンボジア国内をはじめ近隣の国々からたくさんの労働者が集まってくる。
人の集まるところに性産業は生まれる。
一定期間とはいえ安定した現金収入を得て、家族から離れて暮らす労働者は工事現場のすぐ近くにある売春宿を見つけ、
HIVエイズの知識が十分でないまま感染のリスクを冒す。
カンボジアはアジアの中ではタイと並んでHIV感染者が多い。
港湾建設によって感染者が増大なんてことにならないように、
予算や工期計画の中にコンドーム使用の促進やエイズに関する勉強会などを盛り込んでいるそうだ。
今やODAで橋や港だけ作ればいいという時代ではなくなってきているのかもしれない。
インフラ整備によってもたらされる負の副産物を事前に察知し、あらかじめODAの計画の中に盛り込む。
援助する相手国の状況をしっかり見極めて、より豊かな社会になるようきめ細かな配慮をしていくのが、
援助する側の最低限の役割ではないだろうか。。。うん。